夫婦橋~梅雨空の七夕~

先日、父方の祖母が亡くなりました。
今年見送る、三人目の人です。

祖母は、鹿児島の女、でした。
人生の前半を、桜島の噴火の見える地で過ごしました。

私と主人の、日本縦断の旅の終着地を、鹿児島にしたのは、そんな理由がありました。走り切った後、祖母に、桜島を背景にした写真を見せたくて...。主人の心のルーツ東北と、私のルーツ鹿児島を、つなげてみたかったのです。

その祖母について、今日は書こうと思います。

当時の女性が、大概そうであったように、祖母も、若くして祖父に嫁ぎました。青春時代に戦争を経験し、戦後の混乱と復興の時代を生きました。舅姑、小姑のいる大家族に嫁ぎ、婚家の稼業を手伝いながら、4人の子をもうけ、全ての子を東京の大学へやりました。

鹿児島で一生を終えるつもりでいましたが、子供たち全員が東京で仕事と所帯をもったので、50代の半ばを過ぎてから上京。4人の子のうち、2人は離婚し、1人は、くも膜下出血で不自由な体となりましたが、祖母自身の生活費は年金と子供たちの仕送りで不自由はなく。孫は8人。全員、成人しそれぞれの仕事と家庭を持ちました。

70代半ばになって、認知症を患いました。
娘と嫁たちが世話をしました。
その間に、ひ孫1人が生まれ、対面しました。
84歳で完全介護の老人ホームに夫とともに移り。
86歳で病院で亡くなりました。

臨終の席には、ほとんどの子と孫が立ち会いました。
箱根超えのような荒い息で、何時間も頑張りました。
私は、最期の瞬間まで、祖母の手を握っていました。

私は、ずっと、死の瞬間に向けて、手が冷たくなるのだろうと思っていたのですが、祖母は逆でした。

死の瞬間に向けて、手の温もりを、上げ続けました。
祖母の体に取り付けられた機器が、心肺停止を告げた後さえ。
祖母は、手の温もりを、上げ続けました。

最期の踏ん張りを、していたのだと、思います。

それは、きっと。
間違いありません...。

機器が、鳴りつづけ、
呼吸を示すモニタの数値がゼロになり
心臓の動きを示すグラフが平坦になった瞬間。

「逝くな!!」

と叔父が叫び...。

その瞬間に、
祖母は、もう一度、手の温度を上げたのですから。

握り返す力は無くとも。
機器が、計測できる限界を超えた後でも。
祖母は...

「聞いているよ。分かっているよ。」

そう伝えたかったのだと思います。

夫婦の危機、それも深刻な危機は、一度ならず、あったようですが、晩年は、仲の良い夫婦でした。
祖母の死に顔に対面した祖父は、

「なんで、もっと踏んばらんか!」

と怒り、そして、くずおれました。
それを、叔母と従妹が抱き留めました。

梅雨の季節。
どうやら亡くなる方は多いらしく。
葬儀場と斎場は込み合っており。
お寺で通夜を上げられるまで、3日間、自宅に連れ帰りました。
その間、誰かが、常に祖母のそばに、おりました。

祖母の通夜と葬儀のために、子供たちと孫たちは、各々出来ることを探し、全力を尽くしました。
よく大喧嘩する家族ですが、この時は、団結していました。

葬儀には、多くの人が訪れました。
遠方から杖つきながら訪れる人もいました。

訪れた人の中に、私の母方の祖母もおりました。
私の両親は、随分と前に離婚しているのですが、この二人の祖母は、不思議な友情じみたものがあり。
かなり性格の違う人同士であるにも関わらず。子供たち(私の両親)が修羅場の果てに離婚した後も、よく一緒に買い物したり、観劇に出かけたりしていました。

表現は違っても。
芯の強さは、相通ずるものがあったのでしょう。

祖母の人生は、切り取る箇所により、辛苦の色を見せたり、柔和な色を見せたりします。
七夕飾りのように、沢山の願いと、想いに彩られた人生でした。

「生きてりゃ、いろいろあるわよね。
 そういう時は、一晩、ぱぁ~っと寝ちゃうの。
 なぁ~んも、考えずにね。
 そしたら、朝が来るのよ。」

それが口癖でした。

祖母は、与えられた生を生き切った人でした。
いつも、空を見上げていました。

今は、空は梅雨空だけど。
雲の上の空は、きっと晴れてる。
別れ別れになった夫婦が出会う橋が架かる今夜は....きっと祖母と祖父も笑いながら、出会えるはずです。

だから。
わたしも。
今夜は、空を見上げます。

そして...梅雨があけたら...また走らねば、と思います。

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撮影:キッチョムさん 2013/11/11 箱根にて
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# by BicycleKomachi | 2014-07-07 12:21

TOKYO山景~花~

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桜がほころぶ四月一日。
訃報が届いた。
下手くそなブラック・ジョークかと思ったら本当で。

桜吹雪の舞い散るなかでお骨を拾った。
彼女のお骨は、舞い散る花びらと同じ色をしていた。

とても陽気な人だった。
遠縁ではあったけど、私が幼い頃お世話になった人。
子供には恵まれなかったけど、旦那さんとは仲良しで。皆から好かれていた。

在職中に発病したけど、定年まで、勤めあげ。
二度のガンの再発に耐え抜いてホスピスで最期を迎えた。

亡くなる当日の午前中まで、見舞にきた友人と笑い話していたそうだ。
友人が帰った直後に急変して亡くなった。

今年、見送る二人目の人だった。

あと何人見送ればいいんだろ?
途方に暮れた。
我が家には、いつお迎えが来ても不思議ない老人と病人が数人いる…。

そんな思いにかられた翌日、妹に電話をしたら吉報を聞かされた。
二人目を身篭ったと。
秋に生まれる予定だと。
とても嬉しそうだった。

一つの花が散る。
一つの花が咲く。

それは、自然の掟なのだろう。

けれど、今はまだ、散った花への未練が…まだ見ぬ命への期待を上回ってしまう。

何とも言えない気持ちになって、久しぶりに奥多摩湖へ…。

自宅から片道約70キロ。往復140キロの道のり。

平地では葉桜だったものが、山が近づくにつれ、桜吹雪になり、標高をあげるごとに山櫻が姿を現す。

季節が逆戻りしてゆく…。

目を奪われながらも、ひたすらペダルを踏み込み。呼吸を整えながら上る。

果たして…奥多摩湖は、咲き誇る山櫻と様々な花達に彩られていた。
色とりどりの花々と新緑、青い空と湖…。

あぁ…そうか。
散った花は、終わりじゃないんだ。
花は、独りで咲くんじゃないんだ。
互いに互いの養分となって、咲き誇る。
繰り越し、繰り越し……。


花が咲き。
風に舞い。
葉は繁り。
実が稔り。
鳥が啄み。
地に帰る。

そして再び……芽吹くのか。
何度でも、何度でも。

泣きたくなるよな、眩しい景色。
あたしも、いつか…
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# by BicycleKomachi | 2014-04-18 05:40 | TOKYO百景

新宿駅-ターミナル-

「梅を見に行こうよ。」

親友に誘われて、湯島天神を目指した。
待ち合わせは御徒町。
以前なら自転車で向かうところだが…。

昨年末に縦断の旅を終えてから、私は、一種の燃え尽き状態となっており。
年明け早々、婚家で葬式もあり。
それに伴うゴタゴタの余波を受け、ひどく疲れやすくなっていたので電車を使うことにした。

新宿駅でJRに乗り換える。

ホームで乗り換えの電車を待つ間…会話が耳に入った。

「あなた、だいじょうぶ?」
「……。大丈夫です。」


私の母くらいの年の女性が屈みこみ、ホームに座り込んだ女の子に向かって話しかけている。
暖かそうな、おかあさん、という雰囲気の女性。

座り込んだ女の子は学生さんだろうか。
あどけなさの残る顔立ちで、蒼白な顔をしていた。

「本当に、だいじょうぶ?」
「……はい、ありがとうございました。」
「そう?なら良いけれど…。しっかりね。」


心底心配そうな声を残して、おかあさん、は立ち去った。

女の子はホームに座り込んだまま。
一瞬空を見上げて、ため息もつかず、また、下を向いた。

ちらと見えた目元は化粧気がなく。
それでも本来、きれいな瞳の持ち主であることを思わせた。

その瞳は、今、下を向いている。

声をかけようか?
まよった瞬間、もう一人、女の子を見つめている女性に気が付いた。
上品な白髪交じりの老婦人。

一方、電車の入り口付近の列に並ぼうとした若い男性は、足元の女の子に気付いたものの、戸惑い顔。
チラチラと見やった後、見てはならぬものを見たような表情を浮かべ、やってきた電車に乗り込み、立ち去った。

この時間、電車は3分置きにやってくる。

あと二本、見送ろう。
それで、女の子が立ち上がらなければ、声をかけよう。

私は、そう決心した。
女の子は下を向いたまま。
緩慢な手つきでバッグを探り、ハンカチを取り出した。
私は、傍らの自販機で暖かいミルクティーを買った。
女の子が立ち上がらなければ、それを渡すつもりで。

渡した後、どうしよう?
まずは、ミルクティーを飲ませて。
落ち着く場所で話を聞かなくては。

このあたりの喫茶店は落ち着かない。
もっと静かな場所が必要だ。

そのまま湯島につれていこうか?
それとも新宿御苑が良いだろうか?

親友なら、どちらも許してくれるだろう。
メールで一本。
新宿御苑に来てくれ、と送れば、訳も聞かず、来てくれるはず。

あと一本、次の電車が来たら…。
息をつめながら、老婦人と私は女の子を見守った。
間に女の子を挟み、1.5メートルの距離を保ちながら。

老婦人の白髪の向こうに駅員の姿が見えた。
上背のある厳しい顔つきの男性駅員だった。

駅員は女の子に近づき、女の子を立ち上がらせた。
背中に手を添えてやり、駅員室に促した。

もう、だいじょうぶ。
老婦人と私は視線を交わし、それぞれの電車に乗り込んだ。

わたしは右側の電車。老婦人は左側の電車。

新宿駅は、ターミナルだ。
猥雑なものと、きよらかなものと。
やさしさと、厳しさと。
強い意志と、怠情。
したしみと、さりげない距離感。
東京、という町の、すべてが交差するターミナルステーション。

言葉も交わさない、でも、確かな、一瞬の関わり。
わたしは御徒町で親友と合流し、湯島天神に向かった。

むせかえるような梅の香の中で。
わたしは、願をかけた。
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# by BicycleKomachi | 2014-03-10 11:11 | TOKYO百景

日本縦断‐夫婦で自転車旅‐メモ版16

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憧れのしまなみ海道。

瀬戸内海の島々を繋ぐ橋とサイクルロード。

ひたすら美しい景色と檸檬の香と、美味しいものにあふれていました。

大三島の宿で出会った一人旅中の女性サイクリストさんとお友達になったり。

今回は半分しか回れなかったのが何とも惜しい。離れ難い島々。

後ろ髪ひかれながら、東広島に向かいます。

【今回の美味しいもの一覧】

・因島の中島のはっさく大福
・民宿カリブのオコゼ尽くし
・瀬戸田のドルチェ
・カルビーの限定チップス瀬戸田レモン味
・尾道ざこやの穴子丼
・牡蠣焼き小屋

【宿題の美味しいもの】
・大漁の海鮮丼
・レモンポーク

福山〜大三島

大三島〜三原



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# by BicycleKomachi | 2013-12-08 21:31 | 夫婦で日本縦断自転車旅

日本縦断‐夫婦で自転車旅‐メモ版15

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お久しぶりです。現在地、広島県福山市です。

リスタートしたものの、旦那さんと交互に風邪をひいてしまい走っては休み…で予定より時間かかっていますが、進んでいます。

さっきNHKのアイソン彗星の番組で宇宙ステーションからみた日本列島見ながら、ココ自力で走ったんだなーなんて感慨に浸ってました。


明日は、いよいよ、憧れのしまなみ海道です。

以下リスタートしてからの走行ログ。


→ポタナビによる走行ログ
平塚〜箱根〜沼津

沼津〜清水

清水〜島田

島田〜浜松

浜松〜豊川

豊川〜岡崎

岡崎〜名古屋

名古屋〜四日市

四日市〜甲賀

甲賀〜大阪

大阪〜明石

明石〜姫路

姫路〜岡山

岡山〜福山



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# by BicycleKomachi | 2013-12-04 21:54 | 夫婦で日本縦断自転車旅


自転車にのってポタポタと、野を越え山越え気付けば日本海までいっちゃった。


by BicycleKomachi

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